小善と大善
子供を甘やかせる、従業員に迎合するというような表面的な優しさ(小善)は後々になって相手を不幸にする。
一方、子供のことを思って厳しくしつける、従業員のことを考えて厳しく指導すること(大善)は、長い目で見れば、相手から感謝される結果につながると稲盛氏は説いている。
非常に深い教えであるが、私としては大変難易度が高いと受け止めている。
と言うのも、子供とは一生の付き合いである一方、従業員との付き合いは比較的短いからだ。
カリスマ経営者でもない限り、親密な人間関係を従業員と短期間で築くのは現実的には難しいかもしれない。
ただ、日本でも米国でもビジネスの場合、厳しく指導しなくても、明確なルールを設けることで、従業員には納得して従ってもらうということは出来る。
一世代前と違って、今では現場での厳しい指導が馴染まないと思うことがある。
コミュニケーションが苦手とか、感情を表すのが苦手な人がいて、お互いの距離を縮めにくいと感じる場合があるからだ。
本人のことを思って熱心に指導したとしても、逆効果になることもあるだろう。
私自身は第二次ベビーブーマー世代に属するが、ミレニアム世代の人たちとのコミュニケーションや外国人とのコミュニケーションにおいては、ありがちな先入観を排し、自分の価値観を押し付けすぎないよう心がけている。